うれしがり日記

GONG

リシーヴ魂隊の関西地区総長のGONGさんのコラム。『ヤマハ携帯サイト「ケータイクリエイターズ広場(Kクリ)」にて3つのレギュラーコーナーを展開中。あらゆるジャンルに興味を持つ趣味人間。特に収集欲、物欲が強い。広く浅い知識を誇るオタクになり切れないオタク。』とご本人。楽しいコラム間違いないです。

『メディア今昔物語』


いつも年末は、ハードディスクに溜まったデータをディスクに書き出す恒例行事が僕にはあります。

思えば「データを記録する」という作業も随分便利になったものです。

自分が初めて触れたコンピューターは「MSX」でした。
最初に使えた記憶領域は「RAM」だけ。
つまり使い方としましては、電源を入れ→BASICプログラムを入力し→実行する→電源を切る→最初にもどる
と言った感じで不便極まりない!でも当時はそういうもんだと思ってたので、特に疑問も抱かずに使っていました。

そんなところへ、キラ星の如く登場したのが「データレコーダー(カセットテープ)」でした。
なんと自作のプログラムを残しておくことが出来る!しかも使い慣れたカセットテープを利用することが出来る!
まるで夢のようでした。(笑)

どれだけ時間がかかろうが、どれだけ頭出しが面倒だろうが、2400bpsで記録したら速くていいんだけどエラーが出るので泣く泣く1200bpsに切り替えようが、
その有り難さは全く陰ることはありませんでした。
「ピーーーガァーーーー」という読み込み音をウキウキしながら聞いていたものです。

しかし!そこへさらに大型新人が現れるわけです。
そう、「フロッピーディスク」です!(笑)

カセットテープよりもさらにコンパクト、頭出し不要!しかも読み書き速い!そらもういいことづくめの、まさに夢のメディア(当時)でした。

尚、世間的にはカセットテープとフロッピーディスクの間に「クイックディスク」というのが存在したのですが、僕は結局ご縁は無かったですね。
「カセットをディスク状にしたものだ」と説明されてもピンと来てませんでした。何よりハードもメディアも相当高価だったと記憶しています。
ただ、ファミコンのディスクシステムと言えばピンと来る方は多いと思います。確かにあれは画期的だったと思います。

フロッピーディスクの時代は長かったですね。その間、5インチなのか3.5インチなのか、はたまた2DDか2HDか?といった葛藤はありましたが、長らく使い続けました。

しかし人間というのは身勝手なもので、慣れてくるとそん恩恵は当たり前になり、不満が表に出てくるようになるものです。(笑)
最初に疑問を持つキッカケになったのは、パッケージソフトに封入されるフロッピーディスクの枚数が10枚、20枚、30枚と、とんでもない数になってきたことです。

理由は「ハードディスクの普及」にあります。実はこのハードディスクこそが本当の「夢のメディア」であるわけですが、あまりに高すぎるということと、
「リムーバブルメディアではない」ということで、フロッピーディスクにとって変わるものではありませんでした。

しかしそれにしてもですよ。30枚のディスクをせっせと交換させられる身になってみると「なんじゃこりゃ?!」という気分になってきます。

そんな風に思っていたのは僕だけでは無かったようで、やがて「ポストFD」的な存在がいくつか現れました。
1つか「MO」と呼ばれるもので、面積はFDと同じ、厚みがFD2枚分?くらいのディスクに、なんと128MBものデータが入ってしまうという!革命的な記憶装置が登場しました。実にフロッピーディスクの80倍以上の容量です。

結構高価だった記憶がありますが、頑張って買いました。
当時、パソコン通信を初めておりまして、色んなデータをアホみたいにダウンロードしまくったものをフロッピーで保管していたのですが、それらをせっせとMOディスクにまとめました。

スペース節減!と喜んだものの、空になったFDも捨てることが出来ず(このあたりの下りは、当コラムの過去記事「いっぱいのこれたち」で書きました、)実は全然スペース節減になってなかったというオチがあるわけです。

他にも「PD」という、MOと同じ光磁気ディスク装置もありました。PDの利点は、CDドライブと共用出来るという点と、CDと同じ650MBという大容量を持つことでした。

これはなぜだか忘れてしまったのですが、PDドライブを安く入手出来たので使ってみました。ただメディアの方がやっぱり高かったので、それほど積極的には使いませんでした。


やはり次に来る転換点は「CD-R」ということになると思います。
この頃すでに「CD-ROM」はある程度の普及を見せていたのですが、データを記録したCD-Rは再生専用ドライブでも読み込めるというのが非常に魅力でした。

当時働いていたパソコン教室にCD-Rを書き込めるパソコンが1台だけありまして、頼み込んでデータをわんさか持ち込んで、仕事が終わった後にCDに書き込むという作業をやってました。

自分でCD-Rの装置を入手出来たのは、それからしばらく後のことでした。

そこから、CD→DVD→ブルーレイと、12cmディスクの黄金時代が続き、今日に至るわけですが、
便利な一方、非常に不安定なメディアでもありますので、苦労も多かったですね。書き込みに失敗したらディスクは即廃棄。今でこそずいぶん安くなりましたけど、高価だったディスクをダメにした時のショックったら無かったですね(笑)

そんなこんなでまぁ、現在に至るわけですが、
じゃあこれからはどうなんだ?ということを考えてみますに、

まずブルーレイ。現在僕が使っているのは50GBのタイプなのですが、市場ではすでに100GBというタイプのものが出まわっています。
ただ、やっぱり高い。これが普及して価格がこなれてくるのはいつのことだろうなぁ?という気はします。

USBメモリ なんてのもございますね。一時保管には非常に便利なのですが、これもまだまだ高い・・・と思ってたら結構安くなってまいりまして、容量もHDD並みの大きいものも出てきましたし。あなどれませんですね。

ただ、正直なところ、
ストレージメディアにおいて今度、革命的な出来事は当分起こらないんじゃなかろうか?という気がしています。
「クラウド」の出現が理由です。

クラウドストレージって便利ですよね~。例えばスマホで写真取ったら次の瞬間にはもうファイルが自動でアップロードされていて、すぐにPCで見ることが出来る。なんだか手品でも見ているかのような気分になります。

ある一定量までは無料だし、なんだかデータ保管の究極形という気がします。

でも一方で、実感が無くなってきているなー、とも思うんですよね。どれだけデータが増えても「増えた」という実感が無いもんだから、なんとかしようという気も起きにくいし、ついつい整理が後回しになってしまう。

山のようなフロッピーを前にして「オレはこれだけのデータを手に入れたのだ」という、よくわからない充実感や、データレコーダーの「ピーーーギャーーー」という音を聞いている時の幸福感は、これからは得るのが難しくなってくるんでしょうね。

そして、クラウドが当たり前の、これからの時代に生きていく若い人たちは、データというものに対してどう向き合っていくんだろうなぁ?などという余計なお世話的なことにも、思いを馳せてみてしまったりするのです。