うれしがり日記

GONG

リシーヴ魂隊の関西地区総長のGONGさんのコラム。『ヤマハ携帯サイト「ケータイクリエイターズ広場(Kクリ)」にて3つのレギュラーコーナーを展開中。あらゆるジャンルに興味を持つ趣味人間。特に収集欲、物欲が強い。広く浅い知識を誇るオタクになり切れないオタク。』とご本人。楽しいコラム間違いないです。

『ヒールのススメ』


僕がゆるキャラ好きであることは以前ここで書かせて頂きました。
ゆるキャラブームはなかなか静まるところを見せず、今も熱いですね。

そして今、僕がどうしても気になるもの、ま、ハッキリ言ってしまって
大好きなものが他にも出来ました。


地域活性化ということで、ご当地モノが色々と出てきております。
ゆるキャラもそうなんですが、「ご当地ヒーロー」なんてのもありますね。
沖縄の「琉神マブヤー」などが有名です。

で、僕が今気になってしょうがないもの。
名前を「ブラックス将軍」と言います。

ジャンルでいうと「悪キャラ」というんだそうですね。

我が奈良県にもご当地ヒーロー「YAMATO超人ナライガー」
というのが居るんですが、その敵役が悪の組織「汚~セン帝国」
を率いるブラックス将軍、というわけなのです。

ところがこのブラックス将軍、ただの悪い人じゃないんですよね。

たまに面白いことを言ってみたり、ただのオッサンのような言動をしてみたり、
たまにいいこと言ったり、結構人情派だったり。

とても憎めない人なのです。

県内外の各地のイベントに積極的に出向き、
SNSでもコメントを書くと律儀に必ず返事をくれたりして。

本分である「地域活性化」ということを、本気で考えている人なんだなと
いうことがよく解ります。

そこに惹かれるんですね。
主役のナライガーなんかよりずっと魅力的です。(笑)


こうして思えば、僕は結構「悪いモノ」に惹かれることが多いですね。
音楽は聖飢魔IIが好きだし。(笑)

デーモン小暮閣下も「人類を支配する」と言いながらも人間の行く末、
社会の動向などを真剣に考えている悪魔です。


プロレスでも悪役レスラーで結構好きな選手が多いです。

プロレスでは悪役のことを「ヒール」といいますね。
メキシコでは「ルード」と呼んだりしますが、

現在はヒールとは言えませんが、新日本プロレスの真壁刀義や
ドラゴンゲートの戸澤陽、大阪プロレスのブラック・バファローは
ヒールの時から大好きでした。


そう言えば、このところラジオでお世話になっている徳丸新作さんは
関西悪役集団に所属している俳優さんです。

徳丸さんのフェイスブックでよく他の悪役俳優の方の活躍を
目にするのですが、皆さん本当に個性的で魅力的な方ばかりです。


こうして挙げていくと、皆さんに共通していることがあります。
こんなことを言うと怒られるかも知れませんが・・・

悪役はあくまで悪「役」だということ。
つまり悪を演じているわけであって、

実はすごくいい人なんだ(と思われる)ということです。


特にプロレスなんか観てるとそう思いますね。

女子プロレスなどは以前から「リング上で怖い選手ほど、
リングを降りれば女性らしい」と言われています。
引退したデビル雅美さんなんかはその最たる例ですね。

これは前にも書いたと思いますが、

東京で近藤ナっちゃんのライブを観にに行った際、なんと
プロレスラーの村上和成選手がお客さんで来てまして、
紹介して頂いてお話しさせて頂きました。

村上和成選手はファンなら皆ご存知の「ブチキレキャラ」
「野獣キャラ」の超悪役レスラーなのですが、

話してみるとこれがも~超好青年!!
すんごく腰が低くてイイ人でした。

あのギャップったらなかったですね(笑)

悪役ではありませんが、硬派女子プロレスラーとして、
またテレビでは鬼嫁キャラとして有名なジャガー横田さんも
普段話すと、とても物静かで女性らしい方です。


もう一つ「悪役」に共通していると感じていることがあります。

悪役をやっている人には皆「覚悟」がある、ということ。

基本、人間は誰しもイイ人になりたがると思うのです。
誰でも嫌われたくないし、チヤホヤされたいはず。

悪を演じるというのはある意味、人間の本能に
逆らうことであって、強い意志が無ければ成し得ないこと、

なんじゃないかなぁ?って思うわけですよ。


で、まぁ、
本能、という話しを出しましたが、人間は良い人と思われたい
と思う反面、時として何もかもぶち壊してやりたいと
思うことがあるんじゃないでしょうか?(僕はたまにあります。)


青木真也という格闘家がいます。
彼は2009年の大晦日の大会において、対戦相手の腕を
「故意に」折りました。

当然、彼は大いに非難を浴び、大ヒールとなりました。

しかしその背景には、大晦日という大舞台でライバル川尻達也と
闘えることを心待ちにしていたところへ、
突然降って湧いた団体対抗戦により、対戦相手を変えられて
しまったことへの怒りがあったものと思われます。

他人を傷つけること、迷惑をかけることを決して
肯定するわけではありませんが、

生きてると、どうしても許せないこと、筋の通らないことへの
怒りを持つことがあります。

そしてどうしても許せなくなった時、全ての理性を外し、
人は行動に出ます。


「正義」か「悪」かなんてのはあくまで主観的なものであって、
ある人から見れば正義であるものが、別の角度から見ると
悪であることは、世の中いくらでもあります。

戦争なんかがまさにそうですね。


話しが少々飛躍しましたが、

顔はニコニコしながら裏で悪いことをやっている輩も多い中、

「俺は悪いぜ」とあえてアピールする「悪役」に惹かれることは、
そんな人間の内なる欲望を満たしてくれる存在だからなのかも
知れません。

世間体や体裁や見栄といった余計なものを脱ぎ捨て、
言いたいことを言い、やりたいようにやる。
その時、本当の自分自身というものが見えてくるのでは
ないでしょうか。


時には「ヒール」になってみるのも、いいのでは・・・。