電気ぶたナマズ

hebi* (ナ マ 田 あ す か)

独特の切り口、独特の表現、独特の世界観!しかし読み終わってからジワっと「なるほど。。」リシーヴ連載当初から人気大爆発の『ナマ田あすか』さんのコラム。正体不明の読む快感に中毒者続出!? 『あすかワールド』あなたもそっと、覗いてみませんか??病み付きになります。

【嘘はどこまで許される】

第96回

2014.2.15更新

 昔、京都の繁華街に出没した「自称国際線パイロット」

飲みの席にわざわざクリーニング上がりのパイロットスーツを

持ってきたりもする念の入れようであった。

しかし、彼をパイロットだと信じているのは彼だけだった。

それでも彼は毎夜饒舌に話す。世間は案外優しいのである。



 自称モデルなんてのも後を絶たないものであったし

自称横文字職業というのはいつの時代もいたけれど

嗚呼、可哀想な人だなぁと、うんうんそうかい、そうかいと

周囲は話を合わせて流してあげていたこともある。

まともな神経であれば、嘘の自分が評価されて1番傷ついて

いるのは自分だということを感じるはずなのに、傷つけて尚

そんな嘘をつくのだから余程ハートが弱いのか頭が弱いのか。



 現代のベートーベンの嘘が明らかになり、以前に

オーケストラの真ん中で指揮者と握手する彼の映像を見て

なんともまー可笑しいやら気持ち悪いやらを総合して

やはり哀れである。

 真っ先に思い出したのが、自称皇族の有栖川宮夫妻問題。

あの時も突拍子もない大嘘なだけに大勢の著名人が騙され

彼らの結婚披露宴に参加していたというではないか。

 これら2件の3人は、おそらく人格障害というのか何なのか

ただの嘘つきではなく、嘘をついた時の良心の呵責よりも

嘘をついた時の自己嫌悪よりも、高揚感しか見えない病的な人たち

なのだろうとは思う。



 それはそれとして、最近のプリクラ写真は偽りすぎて

逆に気持ち悪い顔になってしまっているので面白いから良い。

自分がブログに写真をUPする段においても、なるべく写りが

自分好みの顔やスタイルのものに、もうちょっとニュアンスを加え

掲載していたものであるし、女優がライトをバンバン当てるのも

似たようなもので、同じ女としてはコミカルで全く許せるのだが。



 上記全ての嘘のパターンに、法律や金銭が絡むか否かや

嘘の規模や対象などは別とした場合、案外同一線上にあるのかな

などと思ってみたりもした。

 嘘はどこまで許されるのだろう。危ない危ない。皆、危ない。

ちょっと今ある幸せを感じる力が少なくなると、誰もが陥りそうな

同一線上のヤバイ嘘つき。気をつけよう気をつけようと思いつつ

麻原死刑囚の無理矢理空中浮遊画像なんかも脳裏をよぎる。