電気ぶたナマズ

hebi* (ナ マ 田 あ す か)

独特の切り口、独特の表現、独特の世界観!しかし読み終わってからジワっと「なるほど。。」リシーヴ連載当初から人気大爆発の『ナマ田あすか』さんのコラム。正体不明の読む快感に中毒者続出!? 『あすかワールド』あなたもそっと、覗いてみませんか??病み付きになります。

【感情垂れ流し】

第89回

2013.07.15更新

とても傷つき悩んでいる人を前にした時に

「心配だー心配だー」

「大丈夫なの?ねー、もう大丈夫なの?」

「信じてるからね!」

などと、自分が安心したいだけの人がいる。

自分が安心したいがゆえに、傷ついた人が

自分の辛い状態をこらえて「大丈夫だよ」とニッコリ笑って

心配だとしつこく訴える周囲をケアせねばならなくなっている。

一番心が辛いのは、傷ついている人だというのにだ。



更に悪いのは、あーでもないこーでもないと

悩んでいる人を前に不安を煽るようなことを言う。

それも全て自分が不安でしょうがないからだ。

一番不安でたまらないのは、傷ついている人だというのに。



そういう人は、なんでもかんでも耳にした情報を傷ついた人に

伝えてしまうだろう。

なぜ、自分でせき止めてやることができないのだろう。

なぜ、自分が防波堤になろうと思わないのだろう。

悪いことは全て自分が跳ね返すか、吸収して浄化してやろうと

思えないのだろう。いい大人が。



そんなことなら、黙って抱きしめてあげる方がずっとマシだ。

付け加えるならば「君は何も悪くない。何も心配しなくていい。

全部私が片付けてあげる。絶対守ってあげるから大丈夫!」だろう。

不安な先行きは、傷ついた人のいる前では決して出さなければいい。

これ以上、傷ついた心をすり減らしたくないのならそうするだろう。



大人でもこのように感情を垂れ流しの人間というのは多い。

思えば私の母もこんな大人だった。

情けない話である。

窮地に陥った時、感情は必要ない。感情は邪魔である。

理性で考え判断し行動するのみ。

大事な人の感情は、受けて受けて溢れさせてあげよう。

自分の感情は、大事な人を守る行動の為のガソリンに

替えるのが得策だろう。

万事うまく処理できた時、安堵の涙を流すのは素敵なことだけど。

それまで、自分の感情なんてもんを露呈するほど甘えてられない。

そんなこと簡単ではないか。