電気ぶたナマズ

hebi* (ナ マ 田 あ す か)

独特の切り口、独特の表現、独特の世界観!しかし読み終わってからジワっと「なるほど。。」リシーヴ連載当初から人気大爆発の『ナマ田あすか』さんのコラム。正体不明の読む快感に中毒者続出!? 『あすかワールド』あなたもそっと、覗いてみませんか??病み付きになります。

【尿を観察する日々】

第95回

2014.1.15更新

ブッシュー……ズズッズッ、ブシュー……。

私がティシュで鼻をかむ音である。



年末年始、私は家に数個ある猫のトイレ脇の床に

這いつくばっていた。

排尿する猫の股間を覗き込み、尿が出た、出ない、尿が細い太い

色はどうか、出しづらそうか、尿の頻度はどうか……

1日は尿に始まり尿に終わり、夢の中でも猫が排尿している夢を見る。

猫がトイレに行くたび付いていって観察するのであるから心臓に悪い。

尿が雫でしか出なかったり、量が少なすぎたり、全く出ないと知ると

顔面の血の気が引いていくのが自分でもわかるのである。唇が冷たい。

出てない……!これがわかった瞬間、猫を抱き、暗闇で泣いては

鼻水まみれになっていたわけだ。実にキモい姿ではある。

出ていないということは、明朝病院でまたカテーテル。

(猫ではなく)どうか私の尿道を詰まらせて下さい神様ー!と

毎朝仏壇に手を合わせる新しい形の変態にもなってきた。



思えば人生ずっとペットと共に生きてきて、子供の頃はともかく

前の猫も、前の犬も、尿のphやら糖やらを毎回私が

気をつけてあげねばならないような病気になってしまい、

また、それらが元で後年死んでしまったということがあった。

その都度、自分の飼い方や無知を悔い、悔いても悔いても

悔やみきれないものであった。

そこへきて、今また猫ちゃんズを3匹抱えている。

きちんとヘルシーフードや療養食を取り寄せ気をつけていたのに

そのうち1匹を猫に多いストルバイト結晶で苦しめる結果になっている。

そして毎朝仏壇に私の尿道を詰まらせてくれと祈るようになった。



猫に「ごめんね、ごめんね、辛い思いさせて」と話しかけるが

風邪ひいたかなーと聞こえるように毎度毎度呟く家族には

「ちょっと!うつさんといてやー!」と述べてしまう私なのだ。

なぜって、猫は相当悪くなるまで元気に元気に振舞うのである。

痛いよしんどいよ辛いよなんて全く言わず、自分が調子悪い時でも

こちらが悲しいことがあると察して寄り添ってくれるのである。

これは猫に限らず犬もその他の動物も同じである。

やはり言語が発達しなかった分、人間が鈍感になってしまった感覚が

鋭くなっているのだろうか。

なんともはや、泣けるではないか。

親が子供を育て、親もまた子供に育てられるように。

ペットに育て直されている自分がいるのである。

よし、今夜は注射の効果か尿がうまく出て調子が良さそうだ。

明日の心配は明日にまわし、さぁてニコニコしておこう!