泣き虫日記

髪 切 達 人

京都・上賀茂 御薗橋。閑静な住宅街の中の隠家的理髪院『古川理髪院』の親父の泣き虫な日記。腰に鋏を刀の代わりにぶら下げて『SAMURAI』の『心』をいつも持つ。昭和37年生まれの寅年。最近涙もろくなってきている。

キングコングとオペラ座の怪人とライムライト

第11回

2013.06.15更新

あなたにとって『愛の映画』は?って聞かれたら
迷わずこの3作品を私は間髪入れずに答えます。
愚作と言われたキングコング。
それもナオミワッツの主演の時の作品を。
ジェシカラングの時のキングコングよりも
ナオミワッツの時の方が愛が伝わってきます。
コングの表情のリアル感がとてもとても悲しいです。

そしてオペラ座の怪人。
これは劇団四季の公演、映画、ロンドンの記念講演のDVDのどれを見ても
不可解ではありますが、深い愛を感じます。
ファントムのクリステーンに向けての愛は
箇条書きで分析する事もできず、論理が成り立たない
深い愛です。

そして、チャップリンのライムライト。
これは私にとっては永遠に一番の愛の映画だと思っています。
カルベロの深い愛は
地底深くの土のまだ深くに存在していると思っています。

どの作品に関しても
主人公の表情に全てがあります。
セリフではなく
役者さんの表情に言葉があるように感じます。

目は口ほどに物を言うとありますが、
ま、ファントムは表情はみえませんが….。
どれも台詞よりも重いものを発しますね。

犠牲の愛、自己顕示欲、自己愛、
それらがすべて織り込まれている作品ですね。


エンパイアステートビルの上で
アンを最後に見つめ力つき落下するコング。
飛行機に銃撃する最中、自分が盾になってアンをまもる姿。
どこかで自分がもう『終わる』と言う事を察知してでの行動。
アンと言葉をかわすことなく。

私は号泣します。はい。



ラウルとクリスティーンを自分の地下のアジトから追い出す時の自虐的な行動。
クリスティーンを幸せにできるのは自分ではなく
ラウルだと悟り、身をひく。
みにくいのは顔ではなく心だとクリスティーンいわれ、
そしてそのクリスティーンからの愛ではない悲しみのキス。

私は号泣します。はい。



カルベロの人生は
波瀾万丈。
過去の栄光にすがりつきながら、実はちゃんと自分の実力を把握もできている。
しかし、その名声の魔力に侵されている自分にも気づいている。
若きバレリーナとの恋。それが愛に発展していく。
自分の存在の無力感と同情の狭間。
彼は最後の舞台に。

私は号泣します。はい。

どれも言葉じゃないんですよね…。
そしてこの3作品は
毎回違う解釈をさせてくれます。
作品に答えが無いのです。

自分自身の其の時の心の具合に応じて
見方、考え方、解釈を変えてくれます。

んで、
以前見てた時よりも成長しているわけでなく、
ただただ深くなってるだけなんですが、
解釈を紐解いていってくれているような感じがいたします。

要するに答えはないんですが..。
どれもどれも
ただただ『深い』のです。

BACK NO.

泣き虫日記


過去のコラムはこちら

CLICK HERELinkIcon